ブログ

ある友人医師のはなし

私の友人には医師が多いが、そのうちの一人の話をしよう。

医学部生になると、大学病院や系列の病院で、実際の医療現場を見学するのは必須となる。その中で、救急医療の実際に触れ、衝撃が走る学生も多い。卒業して国試を取り、医師になると救急医療に何年か着くことも一般的である。

その友人は、学生の時に見た救急医療の現場で見たものは、「ある程度覚悟していたこと」として受け入れられた。大学病院に救急で搬送される中には、凄まじい傷病であることなど日常茶飯事であり、そうしたことは先輩や教授たちから聞いていたからだ。例えば、焼身自殺をはかった人などは、全身が焼け爛れて搬送させれてくる。

ところが、実際に医師になり、救急医療を担当すると、学生の見学とは全く違ったのである。学生の時は視覚による救急医療の壮絶さを知っただけであるが、救急担当医は、それらの治療を請け負う。そして、ここが、重要だが、その患者の背景もである。例えば、目の前の患者が瀕死の重症であり、救命をする使命が医師としてあるのだが、その患者が大量殺人犯である、という場合もあるわけだ。

その友人は、救急医療のこうした重さに耐え切れず、医師を辞めてしまった。そして、医療と全く関係ない職業に就き、3年以上が過ぎたある日のこと、職場の同僚が勤務中に倒れた。友人は医師の経験を活かし同僚の救命措置をその場で行ったが、同僚は死んでしまった。後で家族の慟哭する姿を見て、自分の未熟さを呪ったそうである。「もし、あのまま医師を続けていたら、同僚を助けられたかもしれない」と切実に感じた友人は再び医学部に戻り、現在は医師として多忙な毎日を送っている。

友人はこう言っている。「救急医療とは、時に患者の毒を飲み込むことに強くなり、毒が効かなくなってくると思いたい。だから、私は医者を続けるしかない」

医学部受験
Σ会 https://www.sigma-kai.com/

ご相談はお気軽に!!